皆さま、こんにちは。
本日は、帯状疱疹ワクチンについてお話ししたいと思います。
各自治体でも帯状疱疹ワクチンの予防接種の一部助成が始まっており、港区でも2023年1月より50歳以上の方で区役所に事前に申請することで助成を受けることができるようになっています。
帯状疱疹とは?
主に子どもの頃に、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)にはじめて感染すると、水ぼうそうを発症します。そして、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは脊髄にある神経節という部位に潜んでいます。普段は体の免疫力によってウイルスの活動が抑えられているため発症することはありませんが、免疫力が低下するとウイルスは再び活動、増殖しはじめます。そして、ウイルスは神経の流れに沿って神経節から皮膚へと移動し、帯状に痛みや発疹(ほっしん)が出る帯状疱疹を発症します。
ちなみに、水ぼうそうにかかった自覚がない方でも、不顕性感染をしている場合も多く、50歳以上のVZV抗体保有率は90%との報告もあり、50歳以上のほぼすべての人は帯状疱疹の発症リスクがあるといえます。
帯状疱疹の発症率は50歳代から上昇し、その後ピークをむかえます。80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されています。特に60代、70代、80代で上昇するため、この年齢層での発症を抑えることが重要です。
帯状疱疹は、軽症であれば自然治癒することもありますが、なかには帯状疱疹後神経痛(PHN)になり、重症化したり後遺症が残ったりすることもあります。50歳以上の方の約2割が帯状疱疹後神経痛に移行するとの報告もあります。
予防としては、できるだけ健康的な生活習慣を保つことが大切です。食事のバランスに気をつけ、適度な運動と十分な睡眠を心がけましょう。さらに、50歳以上の方については、ワクチンを接種することで、発症予防、重症化予防が期待できるとされています。
治療の中心は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。より早期の投与が効果的といわれていますので、痒みや痛みのあとに水疱が出現したりしたときは、できるだけ早く受診しましょう。
帯状疱疹ワクチンって効果あるの?
子供のころに接種する水ぼうそうの生ワクチンを接種することも可能ですが、その発症予防効果は50%程度と言われ、高い予防効果があるとは言えません。
一方、帯状疱疹ワクチン(シングリックス)の2回接種の効果については、臨床試験において、帯状疱疹の発症予防は50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%と高い有効性を認めています。帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症予防についても、50歳以上で100%、70歳以上で85.5%の減少率を認めています。シングリックスの有効性ついては追跡調査が行われていますが、2022年10月に、ワクチン接種後少なくとも10年間は予防効果が持続することが確認されています。
シングリックスは、ウイルス表面タンパクの一部である糖タンパク質E(gE)を抗原とした組換えサブユニットワクチンで、不活化ワクチンの一種で生ワクチンではありません。ですから、他の不活化ワクチン(インフルエンザや肺炎球菌ワクチンなど)との接種間隔には制限はありません。新型コロナワクチンに関しては、接種後2週間の接種間隔が必要になります。
帯状疱疹ワクチンの接種対象者
50歳以上の成人を対象としたワクチンです。 帯状疱疹は約6.4%に再発が認められるため、帯状疱疹にかかったことがある方も対象となります(発症後数年は、抗体価が上昇していると考えられるので、少し期間を空けてからでも良いと考えられています)。
ワクチンの安全性と有効性
帯状疱疹ワクチンは、数多くの研究と臨床試験を経て承認されています。これまでのデータから、ワクチンの安全性と有効性が確認されており、予防効果が高いことが示されています。
副反応は他のワクチンと同様に、注射部位の腫れや痛みや発熱などが起こることがあります。通常は3日前後で落ち着くことが多いです。ただし、接種前に医師との相談が必要です。
当クリニックでのワクチン接種の手続き
帯状疱疹ワクチンの接種をご希望の方は、当クリニックでの手続きについてご案内いたします。
帯状疱疹ワクチンの方が、水痘ワクチンに比べて、効果も高く持続すると報告されており、当院では帯状疱疹ワクチンをおすすめしております。 ワクチン接種には事前の予約が必要となりますので、電話もしくは受付でご予約をお取りください。
●帯状疱疹ワクチン種類….シングリックス不活化ワクチン
●費用(自費)………………1回/23,000円(税込)
●接種間隔…………………2回接種〈2回目は、1回目の接種から2~6ヶ月後に接種〉
※港区は50歳以上の方に、1回につき15,000円の助成をしています。 港区に申請をすると予診票が送られてきますのでそちらをお持ちください。
https://www.city.minato.tokyo.jp/hokenyobou/yobousessyu/taijyouhoushin.html
【接種を受けることができない方】
・免疫機能に異常のある疾患をお持ちの方
・副腎皮質ステロイド剤及び免疫抑制剤などによる治療を受けている方
・妊娠中の方
既に他のワクチンを受けている場合や、健康状態によっては注意が必要な場合がありますので、詳細についてはお気軽にお問い合わせください。